僕はあまごにケガをさせた

こんにちは。

いよいよ関東も梅雨明けしましたね!

ガキんちょ達はさぞ待ち遠しかったことでしょう!
(=゚ω゚)ノ


今日は久しぶりに犬の話を書きます。


僕は一度だけ、自分自身の手であまごにケガをさせてしまったことがあります。


思い出すたびに当時の情景が浮かび、

背中がざわつき、胸が苦しくなります。



それは今の職場に入った翌年の春。

山小屋生活を終えて、最初に引っ越したボロアパートで暮らしていた頃の話です。


まだ寒さの残る3月の事でした。



朝、仕事に行く前にトイレをさせようと思い、ひとしきり近所を散歩させて玄関の手前まで戻ってきたところで、

あまごが突然「まだ帰りたくない!」と足を踏ん張った瞬間、

首輪がスルリと外れてしまいました。

冬毛が抜けて首が少し細くなってきていた為、わずかに首輪が緩んできていたことに気付かなかったせいでした。


そして、あまごはここぞとばかりに逃走。



・・・


まだ山奥の集落で暮らしていた頃。

人も車も通らない道まで来たら、首輪とリードを外して走らせてあげていました。

あまごもその時間が大好きでした。


町に移ってからは、リードなしで散歩させるなんてことは出来るはずもなく、

もしかしたらずっと物足りなさを感じていたのかもしれません。


そんな背景がありつつ、首輪が抜けた瞬間、

「え?今日はヒモをつけずに遊んでくれるの?」

一気に駆け出します。


こちらを見る目線は外さず、

でも決して捕まらない距離を維持して楽しそうに走り回るあまご。



「もっと追いかけて!もっともっと!」


あまごは挑発するように近付いては離れ、近付いては離れを繰り返しました。


・・・


ここは町も近く、車の通りだってあります。


もし急に車道に飛び出したりしたら…。


仕事の出勤時間も迫っているし、とにかく早く捕まえないと…。




以前なら、呼べば帰ってくる子でした。

リードが付いていないことなんて当たり前にあったし、

こちらとしても、必死に追いかけるなんてこともなかったあの頃。


散歩を終えて、家に着く頃にはあいつが勝手に僕の足元を歩いている、という感じでした。



だからこそ、段々と腹が立ってきました。


前は逃げたりすることなんてなかったのに…。

早く仕事にも行かなきゃいけないのに…。


一体、何が気に入らないんだよ…!!



近所の人が、逃げるあまごと僕を不思議そうに見ていました。


本当に情けない…。

イライラする気持ちと入り混ざって、

こちらがムキになる程、あまごは逃げ回ります。



・・・


しばらくして、ご近所のコーギーのそばに寄っていくあまご。


ようやくその家の方に捕まえていただき一件落着。


そして二度と逃げ出せないよう、がっちり抱えて家に戻りました。




時刻はもう、とうに出社時間を過ぎています。



腹が立って腹が立って、


家のドアを開けると、


僕は



勢いよくあまごを放り投げました。






その瞬間




(あ…)





即座に「まずい」と感じました。




あまごはバランスを崩し、足をつっぱらせたまま、着地姿勢をとらずに床に落下しました。




ギャン!キャンキャンキャン!!!



その直後、これまで聞いたこともないような悲鳴をあげて、あまごは床を転げ回りました。



なんとか起き上がってからも右前足は床に置くことが出来ず、


引きずったまま泣きわめいていました。





僕は血の気が引いて、体が震え、

己のしたことの愚かさにようやく気が付きました。



まずは一刻も早く動物病院に連絡し、診察をしてもらうことに。


診断の結果は、幸いにも骨折には至っておらず、捻挫か打撲だろうとのこと。



でもどうやらかなりのショックを受けており、


痛みが引いてからも当分、歩くのをためらうかもしれない。


ケガから2時間ほど経っているにも関わらずブルブル震えていて、相当怖かったのではないか。


「心の方も含めて」全治1ヶ月程、とのことでした。




心の方…。


ほっと安心はしたものの、バカなことをしてしまった自分が許せなくて、

しばらくの間あまごを抱きかかえていました。



その後も心配ではあったけれど、僕も仕事に行かなくてはならず、家にはあまご一人を残して出勤。



夕方、おやつと柔らかいクッションを買って家のドアを開けると…



あまごは尻尾を振って、

びっこを引いた足で一生懸命ヨロヨロと近付いてくるのです。


その表情は、まるで叱られた後に「ごめんなさい」をしているようでした。





なにも謝ることなんかないのに…。




僕はもう、その瞬間に泣けてきて…


玄関にひざを付いて、歩み寄るあまごを迎えました。





なんでだよ。

もっともっと責めろよ…。

キバを剥き出しにして噛み付いて、

「もうお前なんか嫌いだ!」と顔を背けていいんだよ。




そうされたって怒らないよ。

怒られるべきはおれなんだ。


なのにお前…


なんでシッポ振ってるんだよぅ…。


何を鼻で鳴いてるんだよぅ…。




ちょうど1ヶ月前に僕の父が死んで、

これでもかというほど泣いた後でしたが、ここでもボロボロに泣いてしまいました。


思えば、あの時だって落ち込む僕を心配して、周りをぐるぐる回っては寄りかかってきて、


こちらが「もういいよ」と言うくらい、ずっとペロペロと舐めて、元気付けてくれました。



そのくらい、動物だって相手の感情に敏感なんです。




ごめん…。

ごめんな。


もう絶対あんなことしないよ。




早く足を治して、またリードを外して、思いっきり走り回ろうな。




・・・


この日以降、僕は何があってもあまごに手を上げることはやめました。


この時だって、ただただ僕に遊んでもらいたかっただけのはずなんです。


首輪が緩んでいたのだって、飼い主である僕の責任です。


あまごが本当はもっともっと遊んでもらいたいと思っていたのに、それに気付いてあげることも出来なかった。



モノを言わない動物は、いつだって行動や仕草で感情や意志を伝えてきていて、それをキャッチするのは飼い主のつとめです。





あまごは10歳になり、どう頑張ったって、もう5~6年もすればお別れがやってきます。



いつか、その日が来るまでに。


僕はあまごと出来ること、あまごが喜ぶことは何でもしてあげたいと思います。


きっと、どんなことをどれだけしたって、


お別れの時には悔いが残って、笑って見送ることなんて出来ないはずです。




それでも、一緒に過ごした日々が大切であればあるほど、


いつの日か「心からありがとう」と思える日が来るはずです。




今日も元気でいてくれてありがとう。


これからももよろしくな^^